大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(行ケ)104号 判決

原告 兼島聖似

被告 京都弁護士会

〔抄 録〕

本件訴えは、原告の弁護士法五八条一項に基づく懲戒請求に対し被告綱紀委員会がなした該請求は同法五六条に該当しないとする議決の取消しを求めるものであるが、このような議決の取消しを求めて当裁判所に出訴することは許されない。すなわち、弁護士に対する懲戒に関する処分については、同法五六条の規定による懲戒についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は同法六〇条の規定により懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができ、同法五六条の規定による懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる(同法六二条)けれども、同法五八条一項の規定により弁護士に対する懲戒請求があったにもかかわらず、弁護士会がその弁護士を懲戒しないときは、その請求をした者は日本弁護士連合会に異議を申し出ることができ、同連合会は右の申出でを受けた場合においては、その申出でに理由がないと認めるときはこれを棄却しなければならない(同法六一条一、二項)とされているが、弁護士会が右の懲戒請求に基づく懲戒をしない処分及び同連合会の異議申出でに対する棄却の裁決に対し裁判所にこれらを取り消して懲戒すべきことを求める途を開いた明文の規定はなく、元来右の懲戒請求権ないしこれに基づく異議申出権は、これら申立てをする者の個人的利益や満足のために設けられたものでなく弁護士懲戒制度の運用の公正を担保するため、もっぱら公益的見地から認められたものであるから、右の処分又は裁決に不服があっても、法律によって特に出訴を認めた定めのないかぎり、裁判所に対しその不服につき出訴することは許されない。

(久利 舘 安井)

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